おばけや幽霊が出てくる、怖い話が好きなお子様は多いのではないでしょうか。
うちの娘も、怖い話が大好き。
娘が幼稚園年少の時に読み聞かせをして、大好評!!だった、怖い絵本の中から、6冊を厳選してご紹介いたします。
どの作品も、心からおすすめです。

年少さん(3歳・4歳)におすすめの怖い絵本を選んだポイント
- 怖い場面や描写がある
- そうは言っても、怖すぎない
- 年少さん(3歳・4歳)に読み聞かせをするのに、丁度良いと思われる文字数
- 子供が気に入って、何度も読んだ
- 子供の心に残る場面や描写があった
- ユーモアや優しさが感じられる
これが、ご紹介する作品を選んだ主なポイントです。
とんでもなく恐ろしかったお話や、もう少し大きいお子様向けのお話にも、すばらしい作品がありましたが、いつか別の投稿にて是非ご紹介できたらいいな、と思っています。
①三匹のやぎのがらがらどん

昔、三匹の山羊がいました。みな同じ、がらがらどんと言う名前です。
おなかいっぱい草を食べに行くことにした三匹は、山を登る途中、谷川の橋の下にすむ、気味の悪いトロルに出会います。

……(こんなに可愛らしい題名の絵本が、こんなに残酷な展開をして、果たして良いのだろうか…?)



もう一回読みたーい!
大人もびっくりの恐ろしいシーンがある『三びきのやぎのがらがらどん』ですが、娘は、何度リピートしたか分からないくらい、この作品が大好き。
図書館で何回も借り、幼稚園の図書室でも借り、すっかり、がらがらどんの虜です。
かくいう私も、幼稚園生の時、劇遊びで大きいがらがらどんを演じて、この絵本が大好きになったのですがね。
「おれだ!おおきいやぎのがらがらどんだ!」
の台詞の、なんと爽快感に満ちていたことか。
大きいがらがらどんのラスボス感がまた、とてつもないんですよね。
子供の頃は気に留めていなかった、というか、気が付かなかったのですが、大人になってから読んでみて分かったことが色々あります。
トロルがものすごい顔をしている。
三匹のやぎのがらがらどんたちが、何か人間っぽい。
絵がとても美しい。青が印象的。
名作絵本は、幾つになっても新鮮な感動をもたらしてくれるのだな、と思いました。
そして何より、
がらがらどんという、すてきなネーミング。文章の小気味の良さ。
素人の自分が言うのはおこがましいのですが、このお話が世代を超えて愛されるのは、魔法のようにすばらしい翻訳がされているからなのだろう、と思っています。
②かいじゅうたちのいるところ


いたずらをして寝室に放り込まれてしまったマックス。
すると、部屋が森になって波が押し寄せてきて、彼は航海に出ることに。
流れ着いた先には、かいじゅうたちが沢山いて…。
かいじゅうたちが勢揃いしている場面が、娘にとっては怖くて怖くて、目が釘付けに。
でも、全体的に、優しくコミカルな雰囲気が漂っている作品です。
「1ねんと1にち」という言葉が2回出てきて、とても印象に残りました。マックスが航海を続ける年月のことです。
ファンタジーの中の比喩表現とは言え、子供の目線になってみると、
1年と1日なんて途方もない時間、ひとりで旅をするなんて、寂しくて寂しくてたまらない。
と思ってしまうし、親側の気持ちで考えてみると、
1年と1日なんて途方もない時間、船を漕ぎ続けるなんて大変なことをしてまで、ここから離れてしまうなんて。もういいから、お願いだから、早く戻っておいで。
と思ってしまうのです。
切なかったり、怖かったり、楽しかったり、いろんな感情が沸き起こる物語。
最後まで読むと、ほっとする、心あたたまる結末が待っていますよ。
③まよなかの魔女たち


最初に、ご忠告。
顔のアップが出てくるところ、「ヒィッッ!」ってなりますよ。



私はなりました。
しかも、1箇所だけじゃないんです。
でも、娘は全く平気でした。
この〈顔アップ〉を「怖っ!!」と思うか、「ああ、大きい顔の絵だな」と思うか、はたまた全然別の感想を抱くかは、人によって異なるのでしょう。
ある晩のこと、お祭りを始めた魔女たちは、真っ暗な森の中で大騒ぎ。
「コウモリのシチュー」なんて、気味の悪い言葉も聞こえてきます。
そんな魔女たちが怖がって、思わず逃げ出してしまうものとは…?
はしゃぐ魔女たちが、とっても可愛いです。ハロウィンにぴったりのお話です。
奥付に2022年刊行との記載があったので、わあ、新しい絵本だったのね、どうりでシャープでスタイリッシュな画風だ、と思ったのですが、調べてみると、もともとは1971年に刊行されていた、ということが分かりました。
日常的に絵本を読んでいると、その作品が生み出されてから既に数十年の月日が経っているとは全くもって信じられない作品に出会い、驚くことが往々にしてありますが、『まよなかの魔女たち』も、54年前からずっと読まれてきていたことが信じられないくらいの、「新しさ」を感じさせてくれる絵本です。
娘は、この『まよなかの魔女たち』を初めて読んだあと、しばらく〈まよなか〉という言葉がマイブームになっていました。
まよなか。子供にとっては、殊にワクワクする響きなのでしょうね。
④くずかごおばけ


『ねないこ だれだ』の、せな けいこ さんの作品です。
1975年刊行。着物、朱塗りのお膳、草履、提灯、扇子などが描かれ、古きよき日本に触れることができます。
ちぎり絵によって表現された和の美しさが心に染みる、何度でも手にとりたくなる絵本です。
『ねないこ だれだ』のおばけと、こちらの作品に出てくるおばけでは、だいぶ趣が違います。
何でもかんでも、くずかごに捨ててしまう女の子。
すると、くずかごから黒い大きな手が伸びてきて…。
娘、引き込まれてじーっと聞き入っていました。
「すてたのは、だれだ!」
「すてたのは、だれだ!」
後になってから、娘は、おばけのせりふを面白がって何度も真似していましたが、親の私から見ると、このお話は、もったいないおばけを思い出させる、こわ〜いお話です。
そして、「ものを大切に」という、シンプルだけどいつも心に留めておきたいことを、しっかりと伝えてくれる絵本だと思います。
⑤まじょのかんづめ


ネオンカラーと表現したいくらいの明るい色彩感の、ポップな画風。しかし、その明るさが逆に怖さを増幅させているように感じました。
女の子と犬が森へ行くと、見たことのない家が建っていた。
窓から覗いてみると、家の中はひっそりとしていて、彫刻のようなものが置いてあるのだった。
女の子は、ドアに手をかけた。
お話は、だ・である調で、淡々と語られていきます。
誰もいない、何か不自然な空間。女の子と犬は、部屋の奥のドアを開け、もう一つの部屋へと入っていってしまいます。
どこからか、とても ちっちゃな くぐもった こえが きこえてきた。
「 た す け て く れ え 」
「 だ し て く れ え 」
物語は意外な展開を迎え、女の子と犬は大ピンチに見舞われます。ハラハラしながら読めること受け合いの一冊です。
中盤から登場する魔女は、大柄で、鼻がニュッと伸びていて、「The 魔女」という感じの恐ろしい風貌。
娘はそれまで、魔女、と言えば『魔女の宅急便』のキキだと思っていたので、こういう魔女もいるのだな、と驚いたようですが、このお話をとても気に入り、「もっと読みたい!」となったのでした。
すぐさま、図書館で続編の『まじょの すいぞくかん』を借りました。こちらもサスペンスフルで面白く、大好評でした。
⑥やねうらべやのおばけ





(娘の名前)ちゃん、この絵本、ぜーんぜん怖くなかったよ!
娘は、何度もそう言っていました。
多分、読み終わるまでドキドキしっ放しだったからこそ、この発言に至ったのでしょう。
だってこの作品、ずっと暗闇の中でお話が展開していくのですから。
やねうらおばけが大写しになった、ドキッとするようなページもあります。
古い家の屋根裏部屋に、小さなおばけが、一人でひっそりと棲んでいました。
ある朝のこと、この家に住んでいる女の子が屋根裏部屋に入ってきました。
女の子は、それから毎日来るようになって…。
おばけって、いつも何をしているんだろう。何を考えているんだろう。おばけの心情になって読むことができ、おばけのことが愛おしくてたまらなくなる絵本です。
最後から二つ目と、最後の文章に、ホロリとしてしまいました。
そして、一番おしまいにある、文字のない絵だけのページに、想像力を掻き立てられます。
ここから始まっていく新たな楽しい日常を示唆していて、元気と希望をもらえるような終わり方だと思いました。
おわりに
年少さん(3歳・4歳)におすすめの、怖い絵本をご紹介させていただきました。
いずれも名作、それぞれ全く違った怖さのある6冊です。



私は、もともと子供たちが生まれる前から、絵本・児童書が大好きでよく読む大人だったのですが、子供たちと一緒に読むようになって、本との出会いの幅が格段に広がりました。
娘は、現在、幼稚園の年中。いずれ、今回ご紹介した怖い絵本より、もっと怖いお話に挑戦していくのでしょう。どのような作品に興味を示すのか、楽しみでもあります。
娘を見守りながら、私自身も、一冊一冊との出会いを大切にしていきたいと思います。

