こんにちは!ピアノ指導歴12年のナナメ姉さんと申します。

全国約500地区で開催されている、ピティナ・ピアノステップ。日程や会場の規模を選べるのも嬉しいですよね。
【フリーステップ】は、何曲でも、どんな演奏形態でも参加が可能なので、言わばフィギュアスケートのエキシビションといった感じの、魅力的なステージが見られることもしばしば。
そんな自由度の高いフリーステップにおいて、最高の評価とされる「Bravo(ブラボー)」をいただいた生徒さんたちの実際に演奏した曲や、それにまつわる話、私の見解などを、この記事で述べていきたいと思います。


ピティナ・ピアノステップの演奏曲と評価について
ピティナ・ピアノステップには二つの種類があり、それぞれ参加方法が異なります。
演奏曲と評価について簡単にまとめてみました。
- 【23ステップ】最もやさしいレベルから最も難しいレベルまで23段階に分かれており、参加者はレベルを選択することができる。課題曲1曲と自由曲1曲の計2曲、あるいは課題曲1曲のみでの参加が可能。1曲ごとに、S・A・B・C・Dの5段階の評価が付き、C以上の評価を受けることができれば合格。
- 【フリーステップ】演奏時間の長さによって6つのコースに分かれており、各コースの決められた時間内に収まれば曲目、曲数は自由。1曲ごとではなく、演奏全体に対して、Bravo・Great・Fine・Almostのいずれかの感想をもらうことができる。合否の判定はない。



本記事では、フリーステップについて取り上げます。
ピティナ・ピアノステップでブラボーをいただいた曲
これまでフリーステップに参加してきた生徒さんたちが、実際に「Bravo(ブラボー)」の評価をいただいた時の曲目、使用した楽譜などを具体的に挙げていきます。



いろいろなスタイルの曲を、6曲ピックアップしました。
フリーステップ演奏曲の例 その1
ベートーヴェン (橋本晃一 編曲)/よろこびのうた
こちらの楽譜に収録されています |
当時、ピアノを始めて9ヶ月だった生徒さんが、初めてのステージで演奏するために選んだ曲です。
有名なメロディーということもあり、楽しく練習に取り組むことができました。
普段の練習からステージ終了後まで、小さいお子様でしかも初舞台の場合は特に、講師やご家族といった周りの人々のフォローが大切だと常々思っています。
「NEW なかよしピアノ1 レパートリー」に収録の1曲を組み合わせ、フリー3分に参加しました。
フリーステップ演奏曲の例 その2
ネッフェ/カンツォネッタ
こちらの楽譜に収録されています |
コンクールでも演奏されることの多い作品です。
生徒さんは、この曲としっかり向き合い練習に励んだことによって、強弱の違いが出せるように、また、力むことなく打鍵ができるようになりました。
同じ楽譜に収録されているJ.S.バッハの作品を組み合わせ、フリー3分に参加しました。
フリーステップ演奏曲の例 その3
シューマン/勇敢な騎士
こちらの楽譜に収録されています |
「先生、この曲は無理です!」当初、演奏曲目の提案をして私がこの曲を弾いてみせた際に、生徒さんのお母様は言いました。テンポも速く、テクニック的に難しいと感じたそうです。
しかし、ご本人はすっかりこの作品の虜になり、(勇敢な騎士とは、どんな騎士だろう?)と、想像を膨らませながら練習を楽しむようになりました。
楽譜に書かれていることに忠実に演奏し、かつ、生徒さんのイメージしたことを音で描けるよう、レッスンにつとめました。
「トンプソン 現代ピアノ教本 (2)」からの1曲を組み合わせ、フリー3分に参加しました。
フリーステップ演奏曲の例 その4
久石譲 (Jun Nagami 編曲)/もののけ姫
楽譜はこちら(楽譜@ELISE)から購入できます。
この作品を生徒さんがステップで演奏した時、出だしの2小節で会場の空気が変わったのがはっきりと分かりました。
曲の神聖さを表現するべく、練習の時から一音一音を大切に心を込めて弾いていたことがステージで昇華され、会場にいた人々全てを別世界へ連れて行くような、みごとな演奏に至ったのだと思います。
レッスンでは、響きや音の重なりに、より耳を傾けてもらえるような助言を心掛けました。
こちらの曲と人気の映画音楽を組み合わせ、ポピュラーメロディー2曲といったラインナップで、フリー5分に参加しました。
フリーステップ演奏曲の例 その5
ショパン/ポロネーズ 第13番 変イ長調 KK.IVa/2
こちらの楽譜に収録されています |
こちらの作品を生徒さんへ弾いて聴かせてみたところ、「どうしてもこれが弾きたい!」と〈ひと聴きぼれ〉状態に。
生徒さんにとって初めてのショパンとなり、のちに他のショパンの作品に挑戦するきっかけとなりました。
レッスンを受ける度に、曲想に合ったきらめくような音色に磨きがかかっていきました。
この1曲で、フリー5分に参加。ステージで、それまで勉強してきた曲よりも難易度の高いこの作品を演奏できたことは、大きな自信にもつながったようです。
フリーステップ演奏曲の例 その6
チャイコフスキー(宮本良樹 編曲)/「くるみ割り人形」より トレパーク[ロシアのおどり](連弾)
こちらの楽譜に収録されています |
こちらは連弾の作品です。1曲でフリー3分に参加しました。
聴きに来ていた親しいピアノの先生に、「この生徒さんたちは、連弾のコンクールには出ないのですか?」と質問されました。
コンクールに出られるだけの技術と音楽性を持っている、とその先生は評価してくださったのかもしれません。この曲が二人の強みを引き出してくれたのでしょう。
始めは互いの音を聴きながら弾くことに苦戦していたのですが、最終的には躍動感あふれるテンポで合わせられるようになり、ステージでは、連弾ならではの響きの厚みとパワーに満ちたパフォーマンスを披露することができました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
ピティナ・ピアノステップの舞台で演奏した直後の生徒さんたちから、
「ピアノって楽しいね!」
「また出たい!」
と、嬉しい言葉を聞かせてもらえたことが、これまでに数えきれないほどありました。
ピアノを指導する立場として生徒さんたちを傍でみていると、ステージでの演奏を経験することによって人はこれほどまでに成長するのか、と驚くとともに、ありきたりな言葉ではありますが「感動」を覚えずにはいられないのです。
23ステップと違い、合否判定のないフリーステップ。
少しだけ気軽に参加できるこのフリーステップの舞台で演奏することが、何にも変えがたい、特別な体験になるかもしれません。

