
先月(2025年10月)、ショート映画のサブスク SAMANSAで観た作品の中で、特に心に残った5作品を挙げていきます!


『マッチ』
一夜の関係を求めてマッチングアプリで出会った男女。しかし、事態は思わぬ方向へ行き、二人はちょっと変わったデートをすることになる。
二人とも…!かわいい…!応援したくなる…!と、やきもきしながらも微笑ましく鑑賞しました。
不器用で、だけど一生懸命。マチアプで出会っているとは言え、何だか二人して【ふわふわで真っ白な雪】みたくピュアなんですよね。
私も、恋愛でかつてこんな風に苦しんだことがあるような気がする。私の友人も、彼らのように悩んでいて、傍で見守ったことがあったかもしれない。
そう、ここに出てくる彼と彼女は、何だかとても親近感を感じさせてくれる二人なのです。
雨の降る夜と灰色の雲に覆われた夜明けを、こんなにも暖かく魅力的に見せてくれた映画って、未だかつてなかったのではないかな。
隣に誰がいるかによって、見えてくる風景は180°違ってくるということを思い出させてもらった気がしました。
『俺はお前だカス野郎』
若い時にもっともっと性行為を楽しみたかった!そんな悩みを何とかするために過去にタイムスリップした男だったが、事はなかなか思うようには運ばない……。
紹介動画を観て、なんて下世話なストーリーだと思っていましたが、いや、それは全く否定できないのですが、テンポの良い愉快なコメディでした。
皆さんのレビューを読むのもとても楽しかったです。
詳しく書いてしまうとネタバレになってしまうので書きませんが、途中であるセリフがまくし立てられる部分は頭の体操になりました。
サラッと聞き流すと全然ワケが分からないのです。何度か頭の中で反芻して、ようやく意味が理解できました。……あれ、私の頭が悪いだけ?
一言で説明するとすれば、「超絶えぐい物語」です。
だいたい、充実したセックスライフを送りたかったからタイムマシンに乗る、なんて、動機が不純極まりないにも程があるのです。
まあ、この作品のそういう紹介コメントを読んだからこそ、面白そう、観てみよう、と思ったんですけどね。
『僕の耳になって』
聴覚障害を持つ男性は、かつて付き合っていた女性の子供を育てている。生まれてまだ間もないその子供は、彼が呼び出された場所に置き去りにされていたのだ。ある日、彼は彼女と話をすべく会いに行くことにする。
主演のチャン・ドンユンさん、素晴らしいです。まるで第一言語であるかのように滑らかな手話で会話しています。また、赤ちゃんの世話をするときの眼差しや手つきに、愛情が溢れている感じがしました。
というか、チャン・ドンユンさん、この作品の監督・脚本・主演をつとめているのですね。
天は二物も三物も与えるのですね。
元恋人役の女優さんがまた素晴らしい!拗ねたような表情、喋り方。精神的に幼く、身勝手な女性をみごとに演じています。この人はよくもまあ悪びれもせずに言い訳をつらつらと…!と、怒りを覚えてしまうほどの演技でした(大絶賛)。
そして、赤ちゃん役の赤ちゃんがまたまた素晴らしいのです。無邪気なあの動き。あの寝顔。あのほっぺ。ああ、癒される。
この作品は、観るものに解釈を委ねる映画だと思います。
行間を読む、ということばがありますが、私は、この映画を鑑賞して、本編では描かれていない、「行間」を自分なりに考察して楽しむことができました。
『暗闇はまだずっと向こう』
高齢者施設で生活をする男の携帯電話に、一件のボイスメッセージが吹き込まれていた。息子が街を離れるというのだ。あまりのショックに呆然とする男だったが、その脳裏に息子との幸せな日々が甦る。
きれいごとでは済まされない親の介護について、考えさせらる映画です。
息子は、父を愛している。
これまで、ずっと父の世話をしてきた。
だけど、これからはできない。遠くへ行くから。
父は、息子を愛している。
自分の面倒を見てもらうことで、息子の時間を奪っているのを分かっていた。
だけど、本当は会いたい。いつでも。
鑑賞後、込み上げてくる感情を抑えることができませんでした。
日本人だから、と言ってしまえば逃げになるかもしれませんが、私は、父や母に対してストレートな愛情表現をしないほうです。心の中には、父を、母を、大好きでしょうがない気持ちがいつだってあるのに。
でも、この作品の息子のように、日々弱っていく親の姿を受け入れざるを得なくなったら?親と物理的に離れることになったら?
この『暗闇はまだずっと向こう』という映画、観たらきっと平静ではいられなくなるけど、本当に美しい作品なので、心からおすすめしたいです。
「暗闇(dark)」は何を意味しているのか、まだ暗闇じゃないのだとしたら、暗闇じゃないところに居る人々にできることって何だろうか……。観た人の数だけ、異なる解釈があるのでしょう。
父親が長いせりふを喋るシーンで、私は、ほんのりと光を放つとても大きく温かいものを感じました。
『ステファニー』
若干11歳にして、国際大会でみごと優勝を成し遂げた体操選手のステファニー。彼女は足の痛みを我慢して出場していた。大会が終わったというのに、心と体を休めることが叶わない──。
どんな世界でも、頂点へ上り詰めるためには、とんでもない努力を要すると思われます。
大人になってから取り組んでもその道のトップへ立つことができる分野と、物心がつく前から始めないとトップへ立つことができない分野があり、体操競技は圧倒的に後者なのでしょう。
主人公の少女ステファニーは、まだ11歳ですが、私は体操という競技について何も分からないので、「まだ」11歳という表現が果たして妥当なのかどうかは分かりません。
体操の道を極めるべく、今後も血の滲むような努力を重ねてゆくであろう彼女。
けれども、彼女は、体操が好きなのでしょうか。楽しめているのでしょうか。
11歳で国際大会の舞台で栄光に輝いた才能あふれる少女は、大人になった時、やっぱり体操と関わり続けているのでしょうか。
違うのではないか、と思いました。これほどの能力があっても、ずっとずっとその道でやって行くのならば、また全然別のエネルギーを持っていなければ、きっと心が折れてしまう。
期待されるあまり重圧を背負った彼女が、痛ましかったです。
母語ではないフランス語でのスピーチを練習する姿の、なんといじらしいことか。
ステファニーが身を置く、思い切り笑うことも許されないような厳しい世界の緊張感が、こちら側にまで流れ込んでくるような作品でした。
音楽の無いエンドロールがとても素敵でした。
おわりに
先月観た作品の、TOP5を挙げさせていただきました。
制作国は以下の通りでした。
『マッチ』 アイルランド
『俺はお前だカス野郎』 オーストラリア
『僕の耳になって』 韓国
『暗闇はまだずっと向こう』 オーストラリア
『ステファニー』 ベルギー
私は、ショート映画配信サブスク SAMANSA に登録するまでは、ショート映画をあまり観たことがありませんでした。
映画と言えば当たり前に2時間くらい尺があるもの、と思っていたくらいですから。
ですが、同じ題材でもショート映画だからこそ光るストーリーというものがあるのだな、と、改めてその奥深さに気付かされた先月だったように思います。
また、たとえば辛く苦しい心情を描いた作品でも、上映時間が短いのなら観てみよう、などと思うことができ、ハードルが一気に下がるのだと感じました。
こうやって、長編映画では敬遠していたようなタイプの作品も鑑賞し、新たな世界を知っていけたら、と思っています。
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