
先月(2025年11月)、ショート映画のサブスク SAMANSAで観た作品の中で、特に心に残った5作品を挙げていきます!


『僕が大人になった方法』
数ヶ月前に別れた元恋人の誕生日パーティーに来た青年。そこで彼は、彼女がどう見ても“いい男”な新しい恋人と仲睦まじく過ごす姿を目撃し、意気消沈してしまう。このままではいけない、と危機感を感じた彼がとった行動とは。
恋人と別れたあとに立ち直るまでを描く作品ってことは、ドロドロと泥のように重たくてつらい場面があるのかしら?と思っていたら、いやいや全然そんなことはなく、いい意味で裏切られました。
爽やか!前向き!具体的!そう、彼が「大人」になるためにどういうプロセスを踏むのかが、最初はコレ!次はコレ!と、超・具体的にサクサクサクっと描かれているのです。
彼は一つの別れを経験したばかりなので、当然、過去を振り返ったり、ああだこうだと思い悩んだりする時間も過ごしたはず。けれど、そこを一切見せないテンポの良さと明るさが良いと思いました。
この映画の中で、一つの重要なアイテムとなるのが、「ごみ箱」です。
ごみ箱、というワードを聞いて思い浮かぶものって、何でしょうか。
ごみを入れるもの。汚いもの、不要なものを捨てるための箱。一般にはそういった概念であろうごみ箱ですが、主人公にとって、話の最初と最後では全くイメージが異なるものとなっています。
私は主人公よりずっと年上だけど、まだまだ、ラストシーンの主人公の域には全然達していないかな、と思いました。
ずいぶん歳をとったと思っていたけど、私ってまだまだ大人じゃないのかも。そんなふうに感じたりもして、いろんな気づきをもたらしてくれるストーリーでした。
『ジェリーの庭』
ある日ジェリーが目覚めると、庭で奇妙な男が奇妙な踊りをしていた。この不審な人物は一体…?そしてジェリーの運命やいかに。
最後に種明かしがされる、約4分の楽しい映画。徐々に増えていく違和感が、ラストでみんなスッキリ回収されます。
この「不審人物」、動きといい目つきといい表情といいファッションといい、クセになるセクシーさを振りまいてますよ!!何度も観たくなります。
ディテールに深く頷かされるかどうかは、観る人のそれまでの、又は現在の家庭の状況が大いに関係してくるでしょう。
しかし、ジェリーにしてみれば、たまったもんではないですね。自分ちの庭に勝手に入られて、変な踊りをされて、挙げ句の果てに散々な煽られ方をするんですから。大いに同情します。
『外で話そう』
外で話そう──。二人の男がある女性を巡って、一触即発の状態に。片をつけるべく外へ出た男たちだったが、“ちょうどいい”場所がなかなか見つからず……。
私たちは何を見せられているのだ。感想はまさにこれです。
最初のほうで、既に「あれ…?」って思いました。この二人、殴り合うようなキャラじゃないんじゃない?って。めっちゃ体格いいんだけどドジっ子みたいな雰囲気で。
劇中は、とにかくツッコミどころがいっぱいです。身一つで外に出てきたはずなのに、いろんな小道具が登場してるし……。外、いつの間にか暗くなってるし……。
おいおいおーーーい!って笑いながら観ることができました。コメディ、最高。
『バード・アンド・ビー』
誕生日の朝、彼女の緊急避妊薬が必要な事態となってしまった。タイムリミットは残り30分。助けを求められた少年の父は、事情を明かされぬまま薬局へと車を走らせる。しかし、思わぬハプニングが次々と起こり……。
かわいくてポップなタイトル(原題は”Kukista ja mehiläisistä”、直訳は「花とミツバチについて」)「バード・アンド・ビー」、すなわち、「鳥と蜂」って何を意味しているのだろう、と思って調べてみたところ、“子供たちに対して話すセックスや生殖の知識・情報”のことを指すのだそうです。
私はこの映画に出会うまで知りませんでした。勉強になるなぁ。
なるほど、ストーリーの内容と合致した題名です。男の子が父親の助けを得ながら彼女の緊急避妊薬を求めて奔走する話なんですから。
日本じゃ生まれないストーリーだな、という印象を抱きました。
日本は性教育をタブー視する傾向があって、その点で欧米にだいぶ遅れをとっているから、早く追いつけばいいのに…と初めて感じたのが、2000年代。
そこから時は流れに流れているが、いまだ現状はほとんど変わっていない。この作品のようなストーリーが生まれうる“土壌”が日本にもできたらどんなにか良いだろう、と、心底思います。
この映画で好きなのは、
・男子がイケイケかと思いきや素朴
・雪多い
・めっちゃ寒そう
・防寒ファッションかわいい
・田舎すぎて家の周りに何もない
・いろいろ起こりすぎてからの「もう何も驚かない」のセリフ
こういうところです。
しかも、終わり方がまさかな感じなんですよ、クスッとしちゃいます。
さむーい国の、あったかい愛すべきドラマ。また観たいと思います。
『トゥーリッキ』
母親によって家に閉じ込められている、トゥーリッキ。携帯電話は取り上げられ、謎の錠剤を与えられる毎日を過ごしていた。自由を求めてもがく彼女だったが、母親の仕打ちには理由があった──。
切ない、とか、悲しい、とか言ってしまうのは憚られます。けれども、全てが明らかになるシーンで、登場人物の幾重にも重なった辛さの正体が見えたように感じて、胸が締め付けられました。
同じ状況に居合わせたことのない私には、「胸が締め付けられる」なんて言う資格はないのでしょうが、その状況を想像しただけで涙が出ます。
トゥーリッキが閉じ込められた家は、光が柔らかく差し込んで、部屋もキッチンもバスルームも清潔そうで、観葉植物なんかもいっぱい置いてあって、カーテンも綺麗な色合いで、でもちょっと薄暗くて。
彼女が、そして母親が幸せに生きていくには、一体何が必要なんだろう。あのとても綺麗な家の中で過ごしていくことは、もうできないのだろうか。トゥーリッキの世界と母親の世界がともに穏やかにあり続けることは、不可能なのだろうか。
考えても考えても、答えは出ません。
とても苦しくなる映画かもしれません。
でも、すごく「愛」を感じる映画でした。
おわりに
先月観た作品の、TOP5を挙げさせていただきました。
制作国は以下の通りでした。
『僕が大人になった方法』 アメリカ
『ジェリーの庭』 イギリス
『外で話そう』 アメリカ
『バード・アンド・ビー』 フィンランド
『トゥーリッキ』 フィンランド
それぞれの作品に共通していたのは、「また観たい」と強く思える、という点でした。
驚いたのは、フィンランドの二作品、『バード・アンド・ビー』と『トゥーリッキ』に同じ俳優さんが出演していた、ということです。
その方とは、Saana Koivistoさん。『バード・アンド・ビー』では緊急避妊薬が必要となる彼女、『トゥーリッキ』では家の中に閉じ込められた主人公を演じていました。
『バード・アンド・ビー』を鑑賞後、もっとフィンランドの映画を観たいと思って何も知らずに選んだタイトルが『トゥーリッキ』だったので、あっ同じ方だ!とすぐに分かりました。
(わー妖精みたい!美しい!)とか、(お、おぅ。強いおなごだな…)とか、(この子どこかへ行ってしまうんじゃないだろうか。儚げ…)とか、場面によって印象が全く変わる演技がとても魅力的でした。
立て続けに観た二つの作品が結果的にどちらも深く心に残り、記事にすることになったわけですが、以前にもこのようなことが……。
何とも強烈で、感想を書き留めておかずにはいられなかったアイルランドの二つの短編映画、こちらも、主演が同じ俳優さんだったのです。
こうして、私はいろんな国に好きな俳優さんが増えていくのでした。幸せなことです。









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