
先月(2025年8月)、ショート映画のサブスク SAMANSAで観た作品の中で、特に心に残った5作品を挙げていきます!
-300x169.jpg)
-300x169.jpg)
『ベスト・ウィッシュ』
クリスマスをめっちゃ楽しみにしてる男性ふたりが繰り広げる、仁義なき戦いの火蓋が、いま、切って落とされる。
1分20秒でこの満足感って……、
短編映画、最高。
私は、ドイツとベルギーのクリスマスマーケットを訪れたことがあります。だから、この二つの国のクリスマスシーズンの盛り上がり具合は肌で感じて分かっているのですが、
オランダ、貴方もか。
ちなみに、この作品の中で私がとにかく好きなのは、男性たちがある場面で見せる、「なんでか時代劇を彷彿とさせる目つき」ですね。
『ビー・プリペアード』
高校時代からの友人同士で旅行をする女性4人。蕎麦打ち体験を予定していたはずだが、何かがおかしい。彼女らは実は、不倫現場を押さえることが目的で招集されたのだった。
路肩に停めたエアコンの壊れた車の中で、ストーリーの大部分が進んでいきます。
めちゃめちゃ暑そう!主演の4人の俳優さんも、汗だくです。
四者四様と言いますか、キャラがそれぞれ立っていて、一人一人の女性に対して、(彼女のここが素敵!)、(こんなところがイヤ!)とか思ってしまうほど、リアルかつ、あるあるな感じがすごく良かったです。
同級生同士で集まると何やかんや話が止まらず、楽しくてしょうがないあの雰囲気も、思い出しました。
でも、何よりも強く感じたのは、「日本語っていいな」ってこと。
私は、4年間ドイツに住んでいたことがあります。
音楽大学と大学院でピアノ専攻生として学んだわけですが、(音楽家というものは、日本よりもヨーロッパで働くほうがどうやら良いらしい。こちらのほうが仕事も豊富だし、お金も稼げる)と思わざるを得ない場面に何度も出くわしました。
それでも日本に帰国した理由の一つに、「日本語をしゃべって生きていきたい」というのがありました。
日本語が母国語だから、それは勿論です。けれども、それを差し引いても、日本語って、ごくごく微妙なニュアンスを表現できるすばらしい言語だと思うのです。
妙なおかしみとか、親しい者に対してだけ許される雑さとかを、口にできて耳にできる日常を送りたかったのです。
「日本語っていいな」、この映画を観てしみじみとそんな感想を抱く私のような人も、少なくないのではないでしょうか。
『ジャックラビット』
車で旅をしていたアレッサンドロは、田舎道でガソリンスタンドに辿り着く。さびれた建物に入ると、そこには眼光鋭い男がおり、何とも奇妙な相談を持ちかけてくるのだった。
〈実話に基づく物語〉というテロップ。
映し出される山々と、立ち込める雲。
そこに不穏な音楽が流れ出し、予備知識ゼロで鑑賞し始めた私は(殺人事件が起こるのか……?)と、身構えていました。しかし。
\9分間、一体何を見せられていたのだろうか/
めちゃくちゃシュールなので、シュールなお話が好きな方は、ぜひぜひ観てください。
あと、ガソスタのお父さんの声が、無駄に渋くてかっこいいです。無駄に決めゼリフっぽいことも言っています。どうぞ注目してください。
登場人物の3人は、皆、それぞれ、可愛らしいところがあって、愛おしくなります。
こんなことが実際に起こったなんて、人間ってミラクルな生き物だよな。
『5回出会った見知らぬ2人』
彼らは、これまでの人生で、5度会っていた。互いのことを覚えていたり、いなかったり、縁が繋がりそうで、繋がらなかったり。立場も状況も、偶然の出会いを果たす度に大きく変わる、二人の物語。
フィクションなので、一人の人物を複数の俳優さんが演じています。
それでも、(人生経験を経て、人の表情はこんなにも深みを増していくのか)と感じずにはいられない素晴らしいものを見せてもらった、という思いでいっぱいです。
彼らの口論、涙、そして笑顔……。頭から離れません。
5回の巡り合いのうち、2回目の最も険悪と言える出会いからストーリーが始まっているのが、何とも粋だな、と感じました。
人は、日々、出会いと別れを繰り返しています。その一つ一つが、どこにつながっているのか分からない。だからこそ、いついかなる時も、目の前の人と真摯に向き合うことが大切なのだ、と改めて教えてくれる作品でした。
『フィーリング・スルー』
帰る家が無く、日々の生活もままならない貧しい青年テリークは、ある夜、ひとりの男性と出会う。盲目で耳の聞こえないその男性が手に持つカードには、「一緒に歩いてくれる人は肩を叩いてください」の一文があった。
感想を書こうとパソコンに向かうも、なかなか言葉が出てこないのです。観終わった後、あんなに胸がいっぱいになったのに。
それは、私が、この作品の登場人物である、帰る家の無いテリークと盲目で耳の聞こえないアーティーに関して何か語ろうとすると、ちょっと考え込んでしまい、言葉に詰まってしまうからなのでした。
夜遅くにガラの悪そうな仲間とふらついていた、帰る家の無いテリーク。
一緒に歩いてくれる人を探している、盲目で耳の聞こえないアーティー。
生活に困窮している人のことを、障がいのある人のことを、私は、(この人について、言っていいことは何だろう、言っちゃいけないことは何だろう)、なんて考えていたのです。
でも、率直な感想がうまくまとめられなくても、この作品を鑑賞して、心が深く動かされたのは事実。
〈テリークは、不安そうに眉根を寄せていることが多い。実際に、きっと不安でいっぱいなのだろう。でも、若くて、柔軟で、手探りながらも果敢にアーティーとのコミニュケーションを取っている。その目はきらきらと輝いていて、彼のまっすぐさが表れているように思える。〉
〈アーティーは、どん、と構えているところが魅力的。彼の笑みには余裕が感じられる。ずいぶん治安の悪そうな場所に立って同行者を探していたが、大丈夫なのだろうか。彼の会話ツールである年季の入ったノート、あれを見るに、これまでに大変な目、嫌な目にあったりしなかったんだろうか。〉
こんな感想が、パラパラと出てきました。
(応援したいな)と、思いました。彼らのような人々のことを。
でも、やっぱり、(応援したい)という言葉も適切ではないような気がして、自分がちょっと上の立場からものを言っているようにも思えて、いつか私がこの作品をもう一度観たら、その時こそ、感じたことをスムーズに言語化して紡ぐことができたらいいな、と、未来の自分に少し期待したい気持ちがあります。
おわりに
先月観た作品の、TOP5を挙げさせていただきました。
制作国は以下の通りでした。
『ベスト・ウィッシュ』 オランダ
『ビー・プリペアード』 日本
『ジャックラビット』 オーストラリア
『5回出会った見知らぬ2人』 イギリス
『フィーリング・スルー』 アメリカ
昔の記憶を蘇らせてくれたり、この先こんな風になっていきたい、という希望を持たせてくれたり。そんな作品が、今回は多かったように思います。
この映画を絶対に紹介したい!と、作品に惚れ込んでも、スルスルっと言葉が出てくることとそうでないことがあるのだ、という気づきもありました。
人生経験を積めば、心を表現する語彙も豊富になり、その時々で感じたことをピッタリと言い表すことができるようになっていくのでしょうか。
自分のこと、もう若くはないって思っていたけど、まだまだ未熟な若造なのかもな。
-300x169.jpg)
-300x169.jpg)
-300x169.jpg)
-300x169.jpg)
-300x169.jpg)
-300x169.jpg)




