絵本「わにわに」シリーズ!4歳2歳は「わにわにのかるた」も大好き

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ちょっぴりコワモテだけど愛すべきワニ、その名も【わにわに】が大活躍する、絵本「わにわに」シリーズ(福音館書店)をご存知でしょうか。

我が家は、シリーズ全作品を何度も読んだことのある、わにわにリピーター。

それぞれのお話のグッときたポイント、子供たちの心をぎゅっと掴んだシーンなどについて触れながら、一冊ずつレビューしていきたいと思います。

また、「わにわにのかるた」で遊んだ感想も後述します。

伝われ!わにわにワールドの魅力!!

目次

絵本「わにわに」シリーズ

2025年で25周年の、わにわに

「わにわに」シリーズ
文: 小風 さち
絵: 山口 マオ
出版社: 福音館書店

絵本「わにわに」シリーズは、『わにわにのおふろ』『わにわにのごちそう』『わにわにのおでかけ』『わにわにのおおけが』『わにわにとあかわに』の全5冊が刊行されています。

第一作目が、月刊絵本「こどものとも年少版」の6月号として誕生したのが2000年。

今年(2025年)は誕生25周年の、アニバーサリーイヤーなんですね。

さまざまな年齢の子供たちに好かれている

わにわにの絵本は、いずれの作品も、〈2才〜4才むき〉と記載されています。が、1才以下のお子様も楽しめそうだし、5才以上のお子様だって楽しめそう。

私は、4歳の娘を連れて参加した図書館のおはなし会で、初めてわにわにに出会いました。

ぶっとい手足にぎろりと光る金色の目玉、という迫力ある風貌の、わにわに。シンプルでありながら時折ファンキーな、詩のように短いことばで紡がれたストーリー。

その会には赤ちゃんも小学生もいましたが、皆、吸い寄せられるように注目し、お話に耳を傾けていました。

わにわにの世界に魅了され、いてもたってもいられなくなった娘は、おはなし会が終わると早速『わにわにのおでかけ』を借り、その日から我が家では「わにわに」シリーズが何回読まれたことか……、もはや数え切れないほどです。

2歳の息子は、頻繁に出てくる擬音語と擬態語が楽しいようで、よく真似しています。

4歳の娘は、日常的なことも非日常的なことも色々と経験するわにわにをきっと自分と重ねているのでしょう、満足気な顔でお話を聞きます。

大人である私は、「ちょっと昔の日本の家」を思わせる渋さ満点なわにわにのおうちに、とっても惹かれます。畳の部屋なんて最高。木版画によって描かれたそれらは、風情があって本当に美しく、見るたびにわくわくします。

著者・画家について

小風 さち

1955年東京生まれ。白百合女子大学仏文科卒業。1977年から87年まで、イギリスのロンドン郊外に暮らした。著書に「わにわに」シリーズ、「こぶたのピクルス」シリーズ(ともに福音館書店)、翻訳作品に『みっつのねがいごと』(岩波書店)などがある。『ゆびぬき小路の秘密』(福音館書店)で1994年野間児童文芸新人賞受賞。

山口 マオ

1958年千葉県生まれ。イラストレーター、絵本作家。東京造形大学絵画科卒業。二足歩行の猫のキャラクター・マオ猫で人気を博す。木版画を中心に、絵本、雑誌、広告、グッズ制作など、さまざまな分野で活躍している。絵本作品に「わにわに」シリーズ(福音館書店)、『ねこでんしゃ』(交通新聞社)などがある。

『わにわにのおふろ』

わにわにのおふろ
文: 小風 さち
絵: 山口 マオ
出版社: 福音館書店
出版年: 2004年

わにわには、お風呂が大好きです。お湯をためて、お風呂の時間の始まり始まり。おもちゃで遊んだり、飛び込んだり、あぶくを飛ばしたり……。

お風呂タイムを楽しむわにわには、まるで人間の子供のようです。2歳の息子が特にハマったのが、わにわにが「オーイェー」と歌うところ!

また「わにわに」シリーズで面白いポイントの一つは、わにわにならではの言い回しやセリフが、他のお話でも出てくる、ということです。子供の顔が、(あ!今の、別のわにわにのお話で聞いたことある!)と、パッと輝くのです。

「ぐにっ ぐにっ ぐなっ ぐなっ」というユニークな表現も、その類です。これは、わにわにがお風呂上がりにタオルで体を拭く様を表した言葉なのですが、大きな体をくねらせる感じがみごとに伝わってくるな、と思いました。

『わにわにのごちそう』

わにわにのごちそう
文: 小風 さち
絵: 山口 マオ
出版社: 福音館書店
出版年: 2007年

おなかがぺこぺこな、わにわに。冷蔵庫を開けてみると、おいしそうなお肉が!エプロンを着けて、さっそくお料理を始めます。

2歳の息子は、わにわにがお肉を食べ終わった場面が大好き。わにわにってば、お肉を焼いて野菜を添えたのはいいけど、お肉しか食べないんです。しかも、夢中で食い散らかしてるので、テーブルの上の下も、散々な状態になってしまいます。そのハチャメチャ加減がウケているみたい。

食いしんぼうで、ぶきっちょなわにわにが、何とも可愛いです。ワニだけど、人間味があります。

でも、人間ではあり得ないワイルドさは、やっぱりワニならではなんですよね。

『わにわにのおでかけ』

わにわにのおでかけ
文: 小風 さち
絵: 山口 マオ
出版社: 福音館書店
出版年: 2007年

眠れないわにわには、寝床を出てお出かけすることにしました。みんなが歩く方へ着いていくと、にぎやかな縁日が。そう、今日は楽しいお祭りの日なのです。

4歳の娘は、ダイナミックで美しい花火の場面がとにかくお気に入り。自分も花火大会に行ったことがあり大興奮だったので、その時のことを思い出すのでしょう。わにわにと自分が同じ体験をしていることが嬉しい、というのもありそうです。

細かく細かく描かれた賑々しさの伝わってくる縁日の様子は、圧巻です。そして、お祭りから家に帰ったわにわにが布団に入っている図からは、静けさと、蚊取り線香のにおいを感じました。

夜、布団を抜け出してのお出かけ、しかも行き先はお祭り!という、スペシャル感が随一な、楽しい作品です。

『わにわにのおおけが』

わにわにのおおけが
文: 小風 さち
絵: 山口 マオ
出版社: 福音館書店
出版年: 2010年

工作を始めたわにわに。はさみで紙を切っていたら、大変!自分の指を切ってしまいました。慌てて薬箱を出し、薬をぬって、包帯を巻きます。

うおお!とは、わにわにの心の叫びでしょうか、それとも実際の叫びでしょうか。楽しく工作をしていたのに怪我をしてしまったわにわに。かわいそうだけど、人間の幼児みたいだな…と、微笑ましく思ってしまいました。

大人の自分としては、他のお話では出てこなかったけれどもこちらで初めて登場した「ずいぶんと ちらかったへや」は、一体、誰が使っている部屋なのかが気になることろです。

わにわには、誰と住んでいるんだろう?どんな人なんだろう?そんなことは一切語られず謎に包まれたまま、という点も、わにわにシリーズの魅力の一つです。

『わにわにとあかわに』

わにわにとあかわに
文: 小風 さち
絵: 山口 マオ
出版社: 福音館書店
出版年: 2013年

だれもいない、静かな家の中。と思ったら、“クィ…”と小さな声がします。出てきたのは、小さな赤いわにでした。わにわには、まずはプリンをご馳走することに。

4歳の娘は、最近ますますお姉ちゃんらしさを発揮しており、弟の面倒をよく見ます。そして、年下の子供たちのことも大好き。見ていて思わず笑ってしまうくらい、(あらあら、かわいいねぇ、かわいすぎて困っちゃうね)といった顔をして、あたふたと小さいお友達の世話を焼こうとするのです。

だから、この作品はハートのど真ん中に突き刺さったようでした。

かわいらしくて、わにわにと比べると、ものすごーくちっちゃいあかわに。いつもより大人っぽく、頼もしく見えるわにわに。大いに、わにわにに共感してお話を楽しんだようです。

『わにわにのかるた』

わにわにのかるた
ことば: 小風 さち
絵: 山口 マオ
出版社: 福音館書店
出版年: 2016年

木版画で描かれた絵札の一枚一枚が温かくて愛おしくなってしまう、素敵なかるたです。

絵本で見たあのシーンもこのシーンも満載。親しみのあるフレーズが沢山聞けて、嬉しくなります。

そして、絵本には出てこない、かるたオリジナルのシーンだっていっぱい。わにわにの世界の、新たなひとコマを覗いた気分になれます。

文字を読めるようになってきた4歳の娘は、「ハイッ!!」と勢いよく札を取ります。自らゲットした何枚もの札を手に持った娘の顔は、誇らしげ。伝統的な遊びであるかるたを通して、文字が分かる!読める!という自信が付くことまでも期待できそうです。

なんと、文字は全く読めない2歳の息子も、かるたに参加。「スイカ」と聞こえればスイカが描かれた札に、「カメレオン」と聞こえればカメレオンが描かれた札に飛びつくのです。家族で遊ぶことが、知らず知らずのうちに子供の【ひらがな学習への入り口】となっているかもしれず、嬉しく思っています。

おわりに~眼光鋭い幼児絵本のヒーロー

わにわに──幼児向け絵本において、こんなにも眼光鋭い主人公が、これまでにいたでしょうか。かなりレアなタイプだと思われます。

見た目は怖い、でも行動は無邪気、心は優しくて根はけっこう心配性…、そんなわにわにのギャップに、みんな心を持っていかれてしまうのでしょうね。

わにわにが大活躍する、それぞれに違ったタイプの5つのお話も、かるたも、親子でいっしょに楽しめて、笑顔になれますよ。

まだわにわにを知らない方々は、ぜひ!!


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この記事を書いた人

ピアニスト・ピアノ講師を生業としている二児の母です。
10代の頃から映画が大好き。
日本国内の音楽大学を経て研究生修了後、渡独。
ドイツの国立音楽大学を経て大学院修了後、帰国。
ドイツには4年間住んでいました。
ピアノのコンサート歴19年、指導歴は12年になります。

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